発達外来
発達外来
みんなが持っている特性(こだわり、人づきあいが苦手、イライラしやすいなど)がやや強く、それにより本人が社会生活に困りを感じ、周囲にも影響が及ぶような状況のことです。
誰でもなんらかの特性は持っていますので、「困った」の程度が高度になると発達障害と認識されることが多いです。「困った」「少し気になる」時点でご相談いただき、適切な対応を一緒に考えさせていただきます。
それぞれのお子様の状況を正確に把握するために必要な時は心理師による発達検査もおこないます。その後、それぞれの「困り」にあった環境調整や対応を提案させていただきます。
場合によっては薬物治療が適応となる場合もありますが、本人・ご家族と相談しながら一緒にすすんでいきましょう。
発達についての相談・心理面に対するかかわり方等の対応をさせていただきます。まずは医師の診察を受けていただきますので発達外来を受診してください。
発達外来は隔週水曜日午後のみで、30日後までの時間指定予約となります。
発達障害は、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、限局性学習症(学習障害)など、いくつかのタイプに分類されます。これらの疾患に共通していることは、生まれつき脳の働き方に違いがあるという点ですが、早期の段階でご本人の困難さをご家族や周囲の支援者が理解し、それに適した療育(治療教育)を行うことで、ご本人の力・自信を伸ばし、周囲の人ともよい関係性を築くことができるようになります。
発達外来では、発達障害の診断と治療・療育、支援のアドバイスなどを行います。お子様とご家族が笑顔で安心して過ごせるよう、サポートを一緒に考えていきます。
などが主な対象疾患です。
自閉スペクトラム症(ASD)とは、以前、小児自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害などと呼ばれていた発達障害の総称です。生まれつきの脳機能の障害から生じる発達障害の代表的な疾患で、特性の強さや現れ方は一人ひとりで異なります。
典型的な特徴としては、対人関係やコミュニケーションが苦手、言語発達の遅れということがあります。コミュニケーションの場面で、言葉や視線、表情、身振りなどを用いて相互的にやり取りをしたり、自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちを読み取ったりすることが苦手です。もう一つ重要な特性として、興味が狭い範囲に集中しやすく、周囲に関心を払うことが難しいということがあります。特定のことに強い関心を持っていたり、こだわりが強かったりということは、ASDの代表的な特徴の一つです。その他にも、感覚の過敏さ、運動の不器用さなど、様々な特性がみられることがあります。
一般的に、乳幼児期には精神発達・運動発達の遅れや感覚過敏などが主な特性としてみられ、早ければ乳幼児健診でその可能性を指摘されることもあります。児童期以降では学業や日々の生活、周囲との関係がより具体的な課題としてみえるようになります。
日本では、幼児期からの早期支援が活発に行われる地域が増えており、支援を受けたことで、自閉スペクトラム症の特性がありながらも、充実した社会生活を送っている方がたくさんいます。一方、自閉スペクトラム症は、「特性から生じる問題」のほか、過剰なストレスや失敗体験が引き金となって「二次的な問題」が生じることも少なくありません。特性がごく弱い人でも、きちんと対応を受けないでいると、周囲の人との違いに悩んだり、誤解され孤立したりし、二次的な問題として身体症状(頭痛、腹痛、食欲不振、チックなど)、精神症状(不安、うつ、緊張、興奮しやすさなど)、不登校やひきこもり、暴言・暴力、自傷行為などに発展する可能性があります。
お子様の発達に気になる点がある場合には、できるだけ早めにご相談ください。早期からその子の特性に合った支援を開始することで、二次的な問題を防ぎながら発達を促すことができます。
注意欠如・多動性障害(ADHD)は生まれつきの脳機能の特徴であり、不注意、多動性、衝動性の3つの主症状によって定義された発達障害のことです。
「不注意」の症状は、学校の勉強などでミスが多い、課題などに集中し続けることができない、話しかけられていても聞いていないように見える、最後までやりとげることができない、作業などの段取りや整理整頓が苦手、集中力が必要なことを避ける、忘れ物や紛失が多い、気が散りやすい、などがあります。「多動性・衝動性」では、落ち着きがない、すぐに席を離れる、座っていても手足をもじもじする、おとなしく遊ぶことができない、しゃべりすぎる、順番を待つことができない、他人の会話やゲームに割り込む、などが認められます。
ADHDの基本的な治療目的は、これらの症状を完全になくすことではなく、特性と上手く付き合っていく工夫を見つけることや、特性に合わせて環境を調整することで二次的問題(抑うつ感や引きこもり、逸脱行動など)を防ぎ、生きづらさを緩和して本人の成長を促していくことです。心理・社会的療法を中心とし、必要に応じて薬物療法を併用しながら治療を進めます。
限局性学習症(LD)とは、全般的な知的発達には問題がないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」など特定の能力のみに困難が生じる発達障害のことです。人によって症状の現れ方が異なったり、意識しないと気づかれにくかったりと、診断が難しい障害でもあります。目安として、学校での学習到達度に、1~2学年相当の遅れがあるのが一般的です。
読字障害は、文字は読めますが、文章を読むのが極端に遅かったり、読み間違えたりすることがよくあります。書字障害は、文字を書く、文章を綴るといったことが難しくなります。算数障害は計算や推論することが難しいです。学習症の子どもに対しては、教育的な支援が重要になります。子どもにある困難さを正確に把握し、決して子どもの怠慢さのせいにせず、適切な支援の方法について情報を共有することが大切です。
最近は、発達が気になるお子様へ早期療育を行うケースが増えてきています。早期から介入し、子どもに合った環境の中で学ぶことで、必要なスキルを身につけやすくなります。また、抑うつなど二次的な問題の予防にもつながるといわれています。