滲出性中耳炎
滲出性中耳炎
鼓膜の奥の中耳腔(鼓膜の内側にある空間)に浸出液がたまり聞こえが悪くなる病気です。乳幼児期から小児期に起こる伝音難聴の原因として最も多いです。その原因は中耳の炎症と耳管の働きの悪さであると考えられています。急性中耳炎と違い、耳の痛みや発熱などの症状がほとんど無いため、幼いお子様が自分から耳の症状を訴えることはほとんどありません。
症状としては、鼓膜の内側に液体が貯まるため聞こえが悪くボーッとした感じがする、聞こえにくいため聞き返しが多くなるなどの症状があります。急に聞こえが悪くなると病気に気が付きやすいですが、滲出液は少しずつ溜まっていきますので、本人も周囲の家族も気がつきにくいです。滲出液の貯留が長期間に及ぶと滲出液は粘り気をもつようになり、難聴がさらに悪化します。
治療としては、鼻のネブライザー療法や鼻水の吸引など局所の処置を行い、鼻咽腔の状態の改善に努めます。副鼻腔炎を合併した滲出性中耳炎にはマクロライド系抗菌薬の少量長期投与が有効です。また、鼓膜を切開して中に溜まった滲出液を出したりします。何度も繰り返すようなら、鼓膜にチューブを入れて液体がたまらないようにすることもあります。鼻すすりが中耳炎に悪影響を及ぼすため、鼻すすりの習慣はやめるように指導しています。滲出性中耳炎の治療は長期にわたりやすく再発の多い疾患ですが、医師と相談しながら根気強く治療しましょう。
お子様の場合、注意点として言葉の発達への影響があります。滲出性中耳炎による言葉の発達障害は3歳で6~8%、幼稚園で2~13%との報告があります。幼児期は言葉の覚えや、性格の形成に大切な時期なので、軽い難聴であっても早めに治療することが大切です。